やせっぽち寄稿文

主に邦楽関連の記事を扱っております。

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今だからこそ『サイレントマジョリティー』と平手友梨奈について語りたい。

2020年1月23日、平手友梨奈の欅坂46脱退が発表された。
何の前触れもない、突然の発表だった。
”次のシングルの活動をもってのグループ卒業” なんかではなく、”この発表をもってのグループ脱退”
正直ファンにとって受け入れられる話など一つもないし、これからの平手友梨奈が、欅坂46がどうなってしまうのかなんて誰もわからない。
全シングル曲でセンターを務めた絶対的エースの脱退。膨大な喪失感の前で、ただただ茫然と立ちすくんでいる。

だけど、こんな今だからこそ、私はもう二度と戻らない過去の話をしたいと思う。
2016年、『サイレントマジョリティー』が発売された時の話だ。
私は今でも、あの時平手友梨奈から受けた雷に打たれたような衝撃をはっきりと覚えている。そしてきっと、これからも忘れることはないだろう。

私の自分語りにはなってしまうが、お読みいただければ幸いだ。

 

『サイレントマジョリティー』の衝撃

www.youtube.com 欅坂46  サイレントマジョリティー

私が初めて「平手友梨奈」という人物を知ったのは、朝のニュース番組だった。
【センターは最年少14歳】。そんな見出しが躍っていたはずだ。

その時放送された『サイレントマジョリティー』のMVを見て、当時まだ15歳だった私は度肝を抜かれた。目を丸くして、そこに映し出された一人の少女をただじっと見つめていた。最年少センター・平手友梨奈。それは私にとって初めての、自分より年下のアイドルとの出会いだった。

自分よりも一つ年下の、中学生の少女が躍っている。しかしその表情は、私の知っていた年下のそれとは何もかもが違っていた。何かを訴えるように、鋭い眼差しでカメラを睨みつけている。確固たる意思を感じる堂々とした立ち振る舞い。アイドル?年下?中学生? 私がそれらに抱いていたイメージとは全てが違う。
そんな少女が突如として現れたのだ。私の固定観念はいとも簡単に崩れ去った。得体のしれない14歳の少女。一体彼女は何者なんだ? これまでに感じたことのない感情を私はその時抱いたのだった。

当時の私は今となっては恥ずかしいくらい歪んだ人間で、楽観的で希望的な考えを軽蔑していた。小学校での苦い経験から、人生に諦めを覚えていた。大人に歯向かうなんて馬鹿らしいと思っていたし、あまり歌詞に意味のない歌や希望の唄ばかり歌う”アイドル”というものが嫌いだった。

しかし、『サイレントマジョリティー』はどうだ。
それは間違いなく私の嫌いな曲であったはずである。アイドルが歌っているし、できもしない大人への反逆を歌っている。とてもじゃないが、好きになるような曲ではないはずだ。

だけどこの曲は、どうしようもなくカッコよかった。
何故か馬鹿にして嘲笑おうなんて気にはなれなかった。
「君は君らしく生きていく自由があるんだ」
「見栄やプライドの鎖につながれたようなつまらない大人は置いていけ」
「さあ未来は君たちのためにある」
呆れるくらい楽観的な歌詞だ。世の中そんなはずがない。社会はもっと残酷だ。
だけど『サイレントマジョリティー』を踊る欅坂46は、14歳の少女は、そんな私の考えが馬鹿らしく思えるほど輝いていたのだ。

それまでの私のイメージに当てはまらないアイドルグループが、得体のしれない14歳の少女が、私の色眼鏡を打ち砕いた
「アイドルなんてくだらない」という偏見や、「希望を抱くなんてみっともない」という考えに絶対的な例外を打ち立ててくれた。

私は今となってはアイドルに対する偏見を全く持っていないし、他の理解できない分野を軽蔑するのもすっかりやめた。相変わらず大人に歯向かう気にはなれないが、当時よりずっと未来に希望を抱いている。今なら純粋に『サイレントマジョリティー』の歌詞を最高にカッコいいと思える。そのきっかけを作ってくれたのは紛れもなく欅坂46であり、平手友梨奈という一人の少女だったのである。

彼女はとんでもなくカッコよかったし、あり得ないくらい輝いていた。何度も感動させてくれたし、たくさんの希望をくれた。感謝してもしきれない人物だ。

 

今回欅坂46の内部で何があったのか、私は全く知らない。
どうして卒業ではなく脱退になってしまったのかなんて知る由もないし、きっと部外者があれこれ口を出すような話ではないだろう。

私は今だからこそ、『サイレントマジョリティー』を歌いたい。
「君は君らしく生きていく自由があるんだ」
「見栄やプライドの鎖につながれたようなつまらない大人は置いていけ」
「さあ未来は君たちのためにある」
彼女の未来に幸多からんことを。

 

 

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