indigo la End 「夏夜のマジック」。
2015年6月発売のシングル「悲しくなる前に」収録曲で、今もなお愛され続ける儚い恋の歌だ。
一収録曲にもかかわらずその人気は凄まじく、発売から4年を経た今、LINE MUSICのランキングで7位に現れたというのだから驚きである。
美しすぎる”儚さ”
この曲が多くの人の心を揺さぶるその理由は、"夏の終わり" というほんの1コマを、美しく切り取った楽曲だからである。ほんのひと刹那で、この曲は完結してしまうのだ。
きっと毎晩聴き続ければ、この曲の良さは失われてしまうだろう。そのくらい繊細で、儚くて、実体のない美しさがこの曲には宿っている。
儚いものは美しい。
それは線香花火が美しいように。夏の終わりの一日だけを、一夜だけを切り取ったこの歌が、美しくないはずがないのだ。
今日だけは夏の夜のマジックで
今夜だけのマジックで
歌わせて
今なら君のことがわかるような気がする
夏の夜限りのマジックで
今夜限りのマジックで
身を任す
夜明けが流れるまで
夏夜のマジック 作詞 川谷絵音
もうとっくに終わった恋だけど、今だけは君のことを歌わせてほしい。
今日だけは。今夜だけは。
この刹那性が私たちを揺れ動かすのだ。
この夏の終わりの、まだ夏の匂いが辛うじて残っているこの夜だけは、あの夏の恋を思い出してもいいじゃないか。今夜限りのマジックに、身を任せてみてもいいんじゃないか。と。
夏が終わる前に
この歌が始まって
こぼれる2人を見守るから
夏よ
ラララ歌わせて
ナツヨ
ラララ歌わせて
夏夜のマジック 作詞 川谷絵音
夏から零れ落ちた二人を見守るだけの歌。
何をしてくれるでもない。ただ、あの日の二人をそっと見守るだけ。
夏が終わるたび、この歌を口ずさむ。
そして心が締め付けられる。
何かを駆り立てるわけでもなく、ただ美しい旋律を奏でるピアノがまた美しい。
哀愁漂うレトロな編曲も、indigo la End特有の女性コーラスも、すべてが切なげで心揺さぶられる。そして、すべてが儚い。
”作詞 川谷絵音” と聞くと、それだけで曲を毛嫌いする人が未だにいる。
でも、黙って曲を聴いてみてほしい。
川谷絵音がどうとかもうどうだっていいのだ。この曲が誰を想って作られたかだとか、そんなちんけな考察なんて必要ない。
ただ、この曲の持つ美しさを感じ取ってほしい。
きっと来年の夏も、大切な人との恋を思い出すだろう。
そしてきっとまた、この歌を口ずさむ。
夏夜のマジックは各種ストリーミングサービスで試聴可能である。この機会に是非。
おすすめ記事はこちら
ご意見・ご感想はお気軽にコメントください。