やせっぽち寄稿文

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【RADWIMPS/セプテンバーさん】歌詞考察! どうしようもなく”セプテンバー”が愛おしいのはこの曲のせいだ。

RADWIMPS「セプテンバーさん」

RADWIMPSの一つの記念日である "9月3日"を曲名の由来とし、公開から13年が経過した今もなおファンに愛され続けている名曲である。

この曲を聴いていると、不思議なほどにこの "セプテンバー" という季節がどうしようもなく愛おしく思えてくる。


青とメメメ「セプテンバーさん」

 

 

どうしてこんなに「9月」が愛おしく思えるのか。

このなんてことない季節をこれほどまでに美しく描いた楽曲を、私は他に知らない。

清少納言が「枕草子」で描いた四季の概念が未だに日本人の心に通ずるように、きっとこの曲が唄う「セプテンバー」は私たちの血液を流れる共通概念なんだろう。そう思えるほどに、この曲には私たちの心を揺さぶる風情が感じられるのだ。

 

それはRADWIMPS、野田洋次郎の趣を解する感性のせいであり、美しすぎる表現のせいであり、どこか懐かしいギターフレーズのせいでもある。

そのすべてが、なんてことない「セプテンバー」という季節に得も言えぬ哀愁を与えているのだ。

 

 

 

愛おしく思える”セプテンバー”

光に溢れ、心躍る夏の終わりを告げる「セプテンバー」

もう、あの夏の恋の高揚感はない。

しかしそんななんてことない9月という時間に、この曲では素敵な意味が見出されている。

 

本物よりもリアルに見えた あの魔法はもう解けた
けどギュっとすればキュンとなるあれは 夏のおかげなんかじゃない 

(中略)

夢が語りつくした希望を 僕は拾うよ 君は見てるの?
さぁ今ならば この声ならば届く気がしたんだ

夏がちらかしてった心を 僕は紡ぐよ さぁいざ行こう
そう今だから この声だから 響くセプテンバー

 セプテンバーさん  作詞 野田洋次郎

あの燃え盛るような季節が終わって、空の色は乾いていってしまった。

夏の魔法はもう解けて、胸躍るような恋の衝動はもう起こらないのかもしれない。

 

だけどそんな今だからこそ、夏のおかげなんかじゃない、君への想いを歌にできる。衝動なんかじゃない、君への確かな愛がきっと届く。

そんな今だから、そんな今ならば、きっとこんな僕の声が響きだすのだ。

そう歌っている。

 

セプテンバーさん。

それは夏の終わりの虚しさなんかじゃなく、きっと2人の愛をつなぐ季節。

 

そう思うと、なんだかこの季節が素晴らしいものに思えてくるのである。

なんでもない”9月”という季節は、どうしようもなく愛おしい”セプテンバーさん”に生まれ変わったのだ。

 

 

美しすぎる表現

野田洋次郎の書く詩の魅力は誰しもが知るところではあるが、この曲の詩の素晴らしさにはただただ感嘆する。

その表現の美しさには、感動すら覚える。いまだに初めてこの曲の歌詞を読んだ時の衝撃は忘れることができない。

 

『夏』ってだけでキラキラしてた あの気持ちが好きなの
「もう少しだけここにいさせて」そんな顔で僕見るの

でも君が笑える理由なら 僕が見つけてきてあげる
こんな二人を繋ぐのは きっとなんでもないセプテンバー

セプテンバーさん  作詞 野田洋次郎

 この曲が言わんとすることは、相当に抽象的だ。夏のキラキラ感とか、2人を繋ぐセプテンバーとか、目に見えるものは何一つとしてない。

しかしながら、何故だか私たちの心に訴えかけてくるなにかがあるのだ。

”『夏』ってだけでキラキラしてた あの気持ちが好きなの” といわれれば「ああ、あの気持ちね」となるし、「もう少しだけここにいさせて」と夏の高揚感に留まろうとする彼女の顔もなんだかわかる気がするのである。

 

勿論、”もうすこしだけ夏にとどまっていたい人”がどんな顔するかなんて知る由もないし、実際そんなことを想って彼氏を見つめる女性がいるとはにはかに考えにくい。

なのに不思議と、この歌詞だけで伝わるのだ。

きっとこの2人は胸がときめくような、青い青い夏を過ごしたんだろう。

きっと女性は上目遣いで、夏の思い出を思い浮かべながら楽しそうに彼氏を見つめているんだろう。

きっと男性は、そんな女性よりはすこしばかり先を見据えていて、なんだか誇らしげな顔で女性を見つめているんだろう。

そんな爽やかな光景が、それとなく目に浮かぶのである。

たった4行で、これだけの情景を描き出す野田洋次郎の文才はもはや神がかっている。

 

 

 

心地よいギターフレーズ

どこか素朴な、リフレインされるギターフレーズがまたこの上なく心地よい。夏の駆り立てるような勢いがあるわけではない、どこか哀愁を帯びたフレーズだ。

懐かしいようでいて、一度聴いたら忘れられない不思議な中毒性がある。

きっと”9月”という季節に、直接このメロディが結びついている人だってたくさんいるだろう。

ただでさえ”セプテンバー”を歌っている歌詞に、この心地の良いメロディが秋風を吹き込んでいるのである。

 

 

まとめ

あぁこの季節(とき)が 語るもの
あぁこの季節(とき)が 繋ぐもの

セプテンバーさん  作詞 野田洋次郎

キラキラしてた夏の終わり。そこにあるのは決して寂しい季節なんかではない。

いつだって、こんな僕らを繋ぐのは何でもないセプテンバー。

 

 

セプテンバーさん はApple Musicにて視聴可能である。この機会に是非。

セプテンバーさん

セプテンバーさん

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