日本一のバトルMC・R指定と世界一のDJ・松永のヒップホップユニット、Creepy Nuts。ケンタッキー・フライド・チキンのTVCMやカップスターWebCMに出演するなど着実に知名度も向上中、現在大注目のアーティストだ。
アンダーグラウンドの枠を超え、メインカルチャーの邦楽界で旋風を巻き起こすのももはや時間の問題。お茶の間を沸かす存在になる日はもうすぐそこまで来ている。
ここでは、そんなCreepy Nutsの魅力を余すことなくお伝えしたい。
彼らのことを知っている方にはファンの一意見として記事を読んでいただきたいし、彼らを知らない方には「ヒップホップはちょっと…」なんで思わずどうか記事を読んでみてほしい。きっとあなたの知らないヒップホップがそこにあるはずだ。
Creepy Nutsとは
Creepy NutsはラッパーのR指定とDJ松永の二人によるヒップホップユニットだ。
2017年11月にシングル『高校デビュー、大学デビュー、全部失敗したけどメジャーデビュー』でメジャーデビュー。
R指定は過去に日本一のバトルMCを決める『ULTIMATE MC BATTLE』にて三連覇を成し遂げたフリースタイルの圧倒的な実力者で、DJ松永もまたDJの技術を競う世界大会「DMC WORLD DJ CHAMPIONSHIPS 2019」に日本代表として出場し、世界一を勝ち取ったNo.1 DJ だ。
活躍の幅は音楽だけにとどまらず、『オールナイトニッポン0』火曜日を2018年3月より担当。
文字通り、日本一のバトルMCと世界一のDJによるヒップホップユニット。それがCreepy Nutsなのである。
2人の人間性
日本一のバトルMCと世界一のDJ。
字面を見ただけでも明らかにいかついし、関わりたくないような雰囲気が漂っている。ましてMCの名前は "R指定" だ。絶対に怖い人に違いない。
きっと身体中入れ墨だらけで、昔は地元でブイブイいわせてたんだろう。作る音楽もきっと共感とは程遠い世界なんだろう。
彼らを全く知らない人ならきっとそう思うはずだ。私もそんな偏見を抱いていた。事実、ヒップホップはいわゆる不良のカルチャーなのだからそう思うのも無理のないことだ。
しかし、実際のところ彼らはそんな不良っぽさとは対極の存在にある。
楽曲の世界観に触れればわかるのだが、彼らは入れ墨なんて入れていないし、逮捕歴も当然ない。それどころかR指定は友達が一人もできず大学を中退しているし、松永は未だに女性と付き合ったことがない。所属していた運動部では永年ベンチウォーマー。好きな芸人は若林と山里。同世代のラッパーやDJが集まるイベントで、怖そうな人が多い中お互いに怯えていたもの同士。
どちらかと言えばクラスの片隅で静かに息をしていたタイプの、いわゆる "陰キャ” なのである。
決して主役ではなかった彼らの人間性、抱いてきたコンプレックスは、常に楽曲の根幹を支えている。
Creepy Nutsの魅力
彼らが楽曲で口にする、社交性、恋愛、社会性に対するコンプレックス。これらは本来後ろめたいもので、どちらかと言えば隠すものであるはずだ。
陽キャの方々にはわかってもらえないだろうが、陰キャは必死に自身のコミュ力の欠如を隠し、なんとか普通にコミュニティに所属しています感を出そうとしている。そんな状況にいるのはそりゃ嫌だけど、無駄に高い自意識が向上心の邪魔をするし、人知れず ”陽キャ” や ”リア充”と呼ばれる人達を妬み嫉み憎んでいる。
今でこそ”陰キャ”が愛され要素であるかのように扱われつつあるが、それでも決して公に宣言するものではない、いうなればアンダーグラウンドな感情だった。
しかしCreepy Nutsは、そんな陰キャが日々抱えているコンプレックスや妬み嫉みを新たなカルチャーへと昇華させた。
今まで絶対に主役になれなかったコンプレックスを主人公に押し上げ、本当に陰キャが長年抱えてきた想いをヒップホップで代弁してくれる。しかもこれがどうしようもなくカッコいい。
人生で日の目を浴びてこなかった人たちが共感と誇りをもって、気持ちに嘘をつかずに素直に楽しめるイカした音楽。陽キャが共有してこぞって聴きたがるラブソングのように、コンプレックスを抱える人々が誇れる音楽。
これこそが、彼らの大きな持ち味なのである。
そして彼らは、社交性、恋愛、社会性に思い悩んできた人々に「それでいいんだ」と教えてくれる。
Creepy Nuts 11/8 Release メジャーデビューシングル「高校デビュー、大学デビュー、全部失敗したけどメジャーデビュー。」ティーザー
無論、こんなコンプレックスは誇れるものでは決してない。だけど彼らはそんな過去を抱えたままでヒップホップ界の頂点まで駆け上がった。いつかベンチを温めたエキストラが主役の座をかっさらった。「高校デビュー、大学デビュー、全部失敗したけどメジャーデビュー」。日本一、世界一を勝ち取りスポットライトを浴びながら、それでも社会に吠え続ける。ビートと数多の言葉を自由自在巧みに操り、強烈なパンチラインを叩きこむ。
女子とまともに喋れない。陽キャと関われない。友達は超少ない。協調性も社交性も社会性も柔軟性も、何もかもが足りていない。でもそれがどうした。そのまま突き進んでやればいい。彼らはそう教えてくれるのだ。
クラスの輪の中心で騒いでいるような、友達がたくさんいて元カノが何人もいるような輩にはきっと共感できないだろう。ダサいと蔑んで嘲笑うかもしれない。だけどそれでいい。あの日の脇役が華やかにスポットライトを浴びる様を黙ってみていればいい。
この世の中を見渡してみると、実は日の目を浴びず縁の下を支える人々がマジョリティーであることにすぐに気が付く。Creepy Nutsが人々に見つかるのは時間の問題。空前絶後のどんでん返しが起こる日はもう目の前だ。
まとめ
大注目の二人組ヒップホップユニット、Creepy Nuts。
彼らの今後の活躍から目が離せない。