King Gnu『Tokyo Rendez-Vous』。読みは『トーキョーランデブー』。
歪んだサウンド、マイク代わりの拡声器、イカれたMV、美しすぎる男性ボーカル。
「なんだこの音楽は」という爆破的な衝撃を邦楽史に持たらしたKing Gnuの名作です。発売から2年を経た今でもその切れ味は抜群。
www.youtube.com PERIMETRON より引用
最近King Gnuが気になり始めた方には特におすすめの1曲。
現在の体制のKing Gnuになって最初のリリース作ということもあり、この曲なしにKing Gnuを語るとは不可能といっても過言ではないでしょう。
ここではその歌詞に注目しながら、楽曲の魅力やKing Gnuの世界観を紐解いていければと思います…!
歌詞考察
ラヴソングとしての『Tokyo Rendez-Vous』
楽曲にジャンルを振り当てるならば、恐らくラブソングの類になるのだと思います。ただしただ「誰かが好き」などと歌うわけでもなく、曲の大半は東京という狂った街の揶揄。
1番から歌詞を細かく見ていきます。
走り出す山手に飛び乗って
ぐるぐる回ってりゃ目は回る
隣のあんた顔も知らねえ
溢れかえる人で前も見えねえんだ
トーキョー
Tokyo Rendez-Vous 作詞 常田大輝
山手線では人ゴミに揺られ、隣のやつの顔も知らねえほど人間関係は希薄で、溢れかえる人で前すらも見えない。異常なほどに発展した大都会・東京の喧騒を回想しています。呆れるほどに忙しなく、どこかが狂った街、トーキョー。
常田さんの拡声器ヴォーカルが楽曲のファンキーな雰囲気を決定づけています。
皆どこかを目指してひた走る
この身守るためにゃツバを飲め
ってな具合だよ
そんな状況
繰り返される日常の狭間で
勝った、負けた、
離れて、くっついた。
すったもんだ
ラチはあかねえな
耳塞いで、目を瞑ったなら
突っ走れよ、混沌的東京
Tokyo Rendez-Vous 作詞 常田大輝
理不尽でも異論を口に出せないような状況。誰かが勝ったとか負けたとか、付き合ったとか別れたとか、そんなくだらない情報が溢れていて、話し合いは散々もめて前に進む兆しもない。
じゃあもうそんなもの見向きもしないで、東京の街を突っ走ってやろうじゃないか。こんなくだらねえ街に構ってられねえよ。
そんな東京、ひいては現代社会に対する反発がこの曲の1つのテーマとなっているように思います。
この身一つを投げ出して
キザなセリフを投げ売って
触れてみたいの
見てみたいの
Tokyo Rendez-Vous 作詞 常田大輝
忙しない街にあえて自ら飛び込んでいって、気取ったセリフを吐き捨てて、”触れてみたいの 見てみたいの”。
ラブソング的な捉え方をするなれば、その対象は恋人でしょう。貴方の体を、心を、触れてみたいし見てみたい。東京の街に身を焦がすよりもずっと魅力的な存在が、楽曲中の主人公には存在しているのです。
夜に紛れて
あなたの元へ遊びに行くよ
眠れない街の
無意味な空騒ぎにはうんざりさ
トーキョー
君とトーキョーランデブー
Tokyo Rendez-Vous 作詞 常田大輝
眠らない東京の街の喧騒なんかにはもううんざり。ここまでの歌詞にもある通り、こんな街に構ってやる気など更々ありません。夜の闇に紛れ、東京の街から身を隠すようにあなたの元へ。
Rendezvous(ランデブー)はフランス語でデートのことです。東京の街の空騒ぎなど見向きもしないで”あなた”と落ち合う。そんな逃避行の様な二人だけの時間を「トーキョーランデブー」と表現しているのではないでしょうか。ここでの「トーキョー」はあくまでその場所であって、東京の街でワイワイ騒いでるわけではないのです。
あなた塗れで
どこまででも飛んでいけそうさ
彷徨う事で
自分自身を失ってしまっても
夜に紛れて
あなたの元へ遊びに行くよ
眠れない街の
無意味な空騒ぎにはうんざりさ
トーキョー
Tokyo Rendez-Vous 作詞 常田大輝
あなたといればきっとどこまででも突っ走っていける。
東京の街で彷徨う中で自分を見失ってしまったとしても、あなたの元へ遊びに行く。
君とトーキョーランデブー。
もうこんな狂った街の無意味な空騒ぎにはうんざりさ。
” トーキョー ”
一応ラブソングではあるものの、それだけではない得も言えぬカッコよさが溢れ出す『Tokyo Rendez-Vous』。
「トーキョー」という一語がこれほどまでに色っぽく艶めく楽曲が他にあったでしょうか…
生き様としての『Tokyo Rendez-Vous』
ここまではラブソングとして『Tokyo Rendez-Vous』をの歌詞を考察してきましたが、この曲には単なるラブソングではない、もっと別のメッセージが込められているように思います。
それはずばり、King Gnuというバンドの生き様・世界観の明示です。
記事の冒頭でも述べた通り、この楽曲はKing Gnu誕生初期の楽曲。もともとはSrv.Vinciというバンドで活動していたという経緯があって、いざKing Gnuに改名して日本の音楽シーンに殴り込もう、となった時に発売された楽曲なのです。
そこで明確に示したのが、現代社会への背反姿勢。
皆どこかを目指してひた走る
この身守るためにゃツバを飲め
ってな具合だよ
そんな状況
繰り返される日常の狭間で
勝った、負けた、
離れて、くっついた。
すったもんだ
ラチはあかねえな
耳塞いで、目を瞑ったなら
突っ走れよ、混沌的東京
Tokyo Rendez-Vous 作詞 常田大輝
東京の街に痛烈にNOを叩き付け、耳を塞いで突っ走る。
King Gnuの他の楽曲を振り返ってみると、この『Tokyo Rendez-Vous』で示されたバンド像は常に変わることなく歌詞のいたるところにあらわれます。
いつも受け入れられない社会の現実があって、King Gnuというバンドは暗い現実にとらわれずに突き進む。だから聴き手もそこに着いて来いよ、ヌーの群れに加われよ、という構図。
これはVinylでもFlash!!!でもSlumberlandでも飛行艇でもTeenager Foreverでも変わっていません(白日はちょっと違うけれど)。
そして他の楽曲からもう一つ言えるのが、King Gnuの楽曲は二人称が聴き手に当てられがちです。何が言いたいかというと、「お前」とか「あなた」とか「You」といった歌詞が聴き手を指していることが多いのです。聴き手に対して歌った曲が多い。
そう考えると、『Tokyo Rendez-Vous』のサビの歌詞もちょっと違った捉え方が可能なのではないでしょうか。
夜に紛れて
あなたの元へ遊びに行くよ
眠れない街の
無意味な空騒ぎにはうんざりさ
トーキョー
Tokyo Rendez-Vous 作詞 常田大輝
社会の無意味な喧騒なんかには捕らわれず、耳塞いで、目を瞑って、聴き手に届く歌を届け続ける。それが、これからのKing Gnuというバンドの世界観。
少々本来の歌詞から脱線した解釈にはなってしまいましたが、違った視点から『Tokyo Rendez-Vous』を聴いてみるのも面白いのではなかろうかと思います…!
まとめ
King Gnu屈指の人気曲『Tokyo Rendez-Vous』。
ライブ映像なんかも公開されていて、これがまためちゃくちゃカッコいいので閲覧をお勧めいたします。生演奏も拝聴したことがあるのですが恐ろしくカッコいいです。
King Gnu - Tokyo Rendez-Vous @ りんご音楽祭2018 DAX -Space Shower Digital Archives Xより
2020年1月にはNewアルバムの発売も決定しているKing Gnu。これからの活躍にますます目が離せません!
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