やせっぽち寄稿文

主に邦楽関連の記事を扱っております。

f:id:zz-1:20190814032053p:image

【セカオワ】MVは平手友梨奈 「スターゲイザー」歌詞解釈!

SEKAI NO OWARI 「スターゲイザー」。

NEWアルバム「EYE」最後の1ピースにして、SEKAI NO OWARI最大の抽象的楽曲。最もリアルで、最もダークで、最もファンタジック。何も言い得ていないようで、全てを歌い上げているような、そんな一曲。

早速解説していきます!

 

 

楽曲について

初収録は2018年発売、 「RAIN」のカップリング曲。「EYE」は初収録ではありません。

明るい曲調の「RAIN」とは対照的にダークな楽曲で、歌唱部分が圧倒的に短い。というか「歌って」はいない。歌詞も極めて少なく、曲の大部分を間奏が占めるという、他の楽曲とは一線を画した異質な楽曲です。

スターゲイザー

スターゲイザー

  • SEKAI NO OWARI
  • J-Pop
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

当時はさほどメジャーな楽曲ではなかったのですが、アルバム「EYE」では最後の一曲として収録され、さらにMVも公開されるなど、一気に注目を集めることとなりました。

 

MVについて

www.youtube.com

アルバム発売直前の2月8日、突如YouTubeにMVが公開されました。しかもMVの主人公を演じるのは欅坂46センター、平手友梨奈さん。圧巻の表現力でグループを牽引する欅坂46の絶対的エースです。

本楽曲の作詞作曲、FukaseさんがMVのストーリーを考えるにあたり、イメージする主人公像が彼女と重なったことで出演をオファーされたとのこと。

まさかの出演で大きな話題を呼びました。

 実は彼女とセカオワの共演は初めてではありません。以前NHKで放送された音楽番組「SONGS」で共演し、彼女とセカオワの対談まで組まれていました。

その経緯もあり平手さん側も出演を快諾。今回の衝撃的なMVが誕生することとなりました。詳しくは後述します。

 

 

歌詞解釈

先述した通り、この曲の大きな特徴はその歌詞の抽象度。歌詞のほとんどが具体例の列挙、もっといえばたった一つの名詞を修飾しているだけなのです。

それは
死体が腐敗していくように
学校へ毎日通うように
夫婦が一生添い遂げるように
花は摘めば枯れていくように
叩けば物は壊れるように
罪人が法で裁かれるように
多数派がいつも勝っていくように
怒鳴れば君が泣くように
時々頭がおかしくなる普通の日常

stargazer(星を見上げる人)

SEKAI NO OWARI 「スターゲイザー」 作詞 Fukase

「時々頭がおかしくなる 普通の日常」。

その他の歌詞は全て「ように」で接続されていて、「普通の日常」というたったそれだけのことを修飾しています。

つまり挙げられた全ての事象が「普通の日常」。列挙されていることはもちろん全てごく当然のことばかりです。全て当たり前のことで、誰も疑うことなく受け止めている、「普通の日常」。

だけどそれが「時々頭がおかしくなる」。

そしてサビはただ一言「stargazer」。

 

2番も全く同じ構成です。

それは
電車に揺られて眠るように
休みを取らずに働くように
命を削って生きていくように
勝つことこそが目標なように
出る杭は打たれていくように
小鳥の声で目が醒めるように
怒れば君が黙るように
もう君が笑わないように
時々頭がおかしくなる普通の日常

stargazer(星を見上げる人)

SEKAI NO OWARI 「スターゲイザー」 作詞 Fukase

1番と同様、ひたすらに「普通の日常」 の列挙。私たちが生きている、ごく当たり前の「普通の日常」。歌詞はたったこれだけ。セカオワの楽曲で最もシンプルといっても過言ではない。

 

 

しかしながら、たったこれだけの歌詞にとてつもないメッセージ性を含蓄している。 そう思えてならないし、それこそがセカオワがこの曲をアルバムの最後に選んだ理由そのものだろうと思います。

 

そのメッセージとは、普通の日常」の疑問視。もっと言えば、それは社会への疑心であり、常識への抵抗でもある。誰もが当たり前に受け入れている「日常」に対する、彼らなりの一つの大きな問題提起。それがこの「スターゲイザー」という楽曲なのだと思うのです。

 

この曲で歌われている通り、私たちは疑いもせず、「普通の日常」を生きています。死体はいつか腐敗するし、花は摘めば枯れてしまう。誰もが信じて疑わないし、誰もがそういうものだと諦めている。

でもそれが「時々頭がおかしくなる」。

「普通の日常」は「普通」なだけであって、決して正義でも真実でもない。

それは時に、不合理で薄情で病的なものです。

勿論目を向けなければ忘れてしまう。でもよく考えれば考えるほど、それは全く完璧なものではないし、疑えばきりがないことばかりなんです。

歌詞になぞらえれば、いつだって少数派は敗者と見なされ、「罪人」と位置付けられた人間は法というもので裁かれる。

当然のように学校に通って、当たり前のように毎日命を削って働く。

いつだって出る杭は叩きのめされるし、いつしか「勝つ」ということが全ての目標とされるようになった。

そして怒鳴ると「君」は泣いてしまう。

こんな「普通の日常」の中で、「君」はいつしか笑わなくなってしまう。

 

そんな病的な状況が、「叩くと物が壊れる」「花は摘めば枯れる」「小鳥の声で目が醒める」といったことと混同され、全てが「普通の日常」として受け入れられている。

そんな世の中の状況を、「時々頭がおかしくなる普通の日常」と表現したのがこの楽曲なのです。

 

 

そしてサビはひたすらに「stargazer(星を見上げる人)」という表現のリフレイン。歌い方を変えるわけでもなく、何度も何度も。

「stargazer」の訳は「星を見上げる人、夢想家、(天文学者)」。

恐らくですが「星」というものを「普通の日常」の対義語のように扱っているのではないか、と思います。星は遥か遠い存在であって、我々の日常とはなんら関係がない。だからこそ、星を見上げることで「普通の日常」から解離する。

当然現実を見ていないわけですから、側から見ればそれは「夢想家(とりとめのないことを考える人)」となるわけです。

だけどそれでも、彼らは、「stargazer」であり続ける。「stargazer」という言葉は「普通の日常」への疑心のシンボルと言えるのではないでしょうか。

 


 

この楽曲には、「普通の日常」への疑心以上のメッセージはないのかもしれない。でも、思えばSEKAI NO OWARIはただひらすらに、「普通の日常」と闘い続けてきたように思います。それは過去の楽曲からずっと一貫して歌われ続けている。

 

いつしか君は信じてる、とある思想を君は信じてる
ダレに教えられたかは知らないが君は絶対的に信じてる
「命に価値がある」と信じてる
「人を殺してはいけない」と思ってる

なんで?
「なんでってそりゃあ」
君は何を信じてる?
クエスチョン

SEKAI NO OWARI 「Death Disco」

前アルバム「Tree」収録、「Death Disco」。言うまでもなく、この曲でも歌っていることはなんら変わりません。

 

人間という怪物は「セカイ平和」という戦争を起こしてる
平和なんて化け物は本当は存在していない
普通に異常な貴方は「間違い」を主張して笑おうとする
「正解」なんて化け物は本当は存在していない

世界の終わり 「世界平和」

その主張はセカオワがまだ「世界の終わり」名義だった2010年まで遡ってもなんら変わっていない。「普通に異常な貴方」という表現はまさに「スターゲイザー」の歌詞そのものです。

 

他にも「ilusion」「Love the warz」「天使と悪魔」など、同様の主張の楽曲を挙げればきりがない。それだけ、 「普通の日常」というのはSEKAI NO OWARI の恒常的なテーマであり続けているんです。

 

 

それが今回の楽曲で改めて、全く新たな形で示された。「普通の日常」との闘いの新たなステップに足を踏み入れた。

 

だからこそ、この楽曲は彼らにとって重要な役割を担う曲であって、アルバム「EYE」最後の一曲に選ばれたのではないか、と私は考えています…

 

SEKAI NO OWARIらしく、原点回帰であり、それでいてこれまでのどの曲とも違う全く新しい楽曲。

 

 

1ファンとしては「Death Disco」以来全く無かったダークな楽曲が新たに生まれて喜ばしい限りです…!

 

 

MV考察

先述した通り、MVの主人公は欅坂46、平手友梨奈さん。

彼女のファンでもある私はまさかの出演に歓喜しました…

 

 欅坂46最新曲の歌詞解釈はこちら

【欅坂】「黒い羊」歌詞の意味を徹底解釈!社会への反逆、欅坂46の話題作! - やせっぽち寄稿文

 

簡潔にストーリーを述べるならば、いわば「普通の日常」を送る少女がある夜耐えられず踊り狂う話。

そうまとめてしまえばなんてことないのだけれど、ラストシーンの彼女のダンスがこの曲の全てを物語っているような、そんな感覚に襲われます。

「普通の日常」の影の部分を全て詰め込んだかのような、何かが張り裂けたような、そんな鬼気迫るダンスシーン。

 

「振り付けはご本人(平手さん)に任せた」とのことですが、もう本当に圧巻の感情表現で…

歌詞解釈の度に言ってますが、彼女のダンスの表現力に歌詞解釈なんかじゃとても敵わない。

Fukaseさん自身、最後のシーンを見た時「作詞作曲家でありながら言葉にならない気持ちになった」と語っています。

まだご覧になられてない方は是非!

 

ちなみに平手さんの金髪はカツラではなく一時的に染めたそうです。

 

 

新しいSEKAI NO OWARIが垣間見える楽曲、「スターゲイザー」。

彼らの今後の活動が楽しみです!

スターゲイザー

スターゲイザー

  • SEKAI NO OWARI
  • J-Pop
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

 

 おすすめ記事はこちら

【セカオワ】Mr.Heartache 歌詞の意味を徹底解釈!ファン待望の音源化! - やせっぽち寄稿文

f:id:zz-1:20190814211901p:plain
f:id:zz-1:20190814212429p:plain
おすすめ記事一覧

【天気の子】主題歌の考察まとめ

【King Gnu/Teenager Forever】最高にイタくてカッコいい最新曲

【乃木坂46/シンクロニシティ】レコ大受賞の名曲を考察

ブロガー向けの記事はこちら


新着記事