やせっぽち寄稿文

主に邦楽関連の記事を扱っております。

f:id:zz-1:20190814032053p:image

【乃木坂】帰り道は遠回りしたくなる 歌詞の意味を徹底解釈! 卒業シングルに込められた思いとは?

乃木坂46、22ndシングル「帰り道は遠回りしたくなる」。発売初週でミリオンセールスを記録し、紅白歌合戦での歌唱曲にもなった、2018年乃木坂46の集大成とも言える楽曲です。歌詞が本当に何度聞いても素晴らしい曲ですので、個人的な解釈、感想等を書かせていただきます!

はじめに

本楽曲のセンターは西野七瀬さん。

一期生としてグループを支えてきた、乃木坂46の絶対的エースです。そんな西野さん、そして同じく一期生の若月さんが本シングルをもって乃木坂での活動から卒業される…ということで…1ファンとしては寂しい限りです。

「帰り道は遠回りしたくなる」はそんな2人の卒業シングルということで、こてこての卒業ソングということになるわけですが、流石秋元康作詞…というべきか、歌詞がこの上なく素晴らしい。アイドル云々を抜きにして、率直にいい曲。個人的な感情も相まって本当に大好きな楽曲です…!

帰り道は遠回りしたくなる

帰り道は遠回りしたくなる

  • 乃木坂46
  • J-Pop
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

早速解釈に入っていきます。

 

歌詞解釈

こちらの楽曲は先述した通り卒業ソング。しかしながら、決してまっすぐで平易なお別れの歌ではありません。

タイトルにもある「帰り道は遠回りしたくなる」。これが本楽曲のキーワードでありながら、様々な解釈が可能な含みのある表現でもあるわけで…追って説明します。まずはAメロから!

 

やめられない漫画を途中で閉じて
顔を上げて気づくように
居心地いい日向もいつの間にか
影になって黄昏る

乃木坂46 「帰り道は遠回りしたくなる」 作詞 秋元康

1番のAメロ。読み始めた時はずっとこのままでいたい…と思うのに、ふと我に帰った時こんなことしてていいんだろうか」なんて思ってしまうのは世の常です。ずっと、永遠に居心地のいい場所・状態があれば自身が変わる必要なんてないのに、世の中は無常。気がつけば影になる。そんな心情を描いています。

非常に身近な体験の描写でありながら、ここで歌詞全体としての背景というか、「変わらなければならない」という主題が導入されています。お見事。

 

君と会って
過ぎる時間忘れるくらい夢中で話した  僕の夢は
ここではないどこかへ

乃木坂46 「帰り道は遠回りしたくなる」 作詞 秋元康

先述の「やめられない漫画」「居心地いい日向」「忘れるくらい夢中で話した(時間)」と同義だと思われます。Aメロでのふわっとした表現から、一気に卒業ソングとして具体化。

そして「僕の夢はここではないどこかへ」。「ここ」という表現の対象はもちろん「忘れるくらい…」でしょう。今自分がいる「ここ」という居心地の良い場所から、ここではないどこかへ」と進んでいこうという意思です。

「ここ」(今居心地の良い場所)というのを具体化すれば、もちろん西野さん・若月さんに当てはめれば「乃木坂46」という環境そのものになりますし、一般化するならば学校、職場、etc…ということになります。

忘れるくらい楽しい時間を過ごしているのに、自分の理想は気がつけば今自分がいる場所にはない…同様の内容が繰り返し表現されていますが、表現の豊かさには脱帽。「あるある」といえばなんだか俗っぽくて違う気もしますが、誰しもがこの感情には共感してしまいますよね…

そしていよいよサビへ。

 

帰り道は 帰り道は
遠回りをしたくなるよ
どこを行けば どこに着くか?
過去の道なら迷うことがないから
弱虫(弱虫…)
新しい世界へ
今 行きたい 行きたい 行きたい 行きたい
強くなりたい

 

好きだったこの場所 

一歩目踏み出そう

乃木坂46 「帰り道は遠回りしたくなる」 作詞 秋元康

「帰り道は遠回りをしたくなる」。素晴らしい表現だなぁとつくづく思います。

最初に述べた通り、いろんな解釈ができる表現ですが、個人的にはこんな風に捉えています。

「帰り道」というのはもちろんもう知っている居心地のいい道。先ほどの「ここ」という指示語の対象になり得ます。つまり、遠回りをすることで少しでも長くその世界に留まっていたい、あるいは「帰り道」という自分だけの世界に滞在することで、「ここではないどこか」へ向かうための気持ちの整理をつけたい、という意味。色々考えましたが、これが比較的しっくりくるかな…と。

なぜわざわざ「帰り道」 という表現なのか、という話ですが。「道」という表現は、「進路」であったりとか「人生」であったりだとか、そういった未来志向な言葉に結びつけられる傾向にあります。「新しい道を歩む」なんてよく言いますよね。この曲もそこに結びつけて「道」という言葉が用いられたのかな…と。

でもあくまで帰り道。遠回りしてちょっと違う景色を見てみたところで新しい道ではないし、迷うことなんてない。弱虫なんです。だからこそ、新しい世界に行きたい。強くなりたい。
だけどこの場所が本当に好きだったからこそ、それが本当に寂しいことなわけで…美しい歌詞です、ほんとに。

 

続けます!

 


 

街灯りが寂しくふと感じるのは
見慣れた景色と違うから
いつもの高架線が見えなくなって
どこにいるかわからない

人は誰も 変わることに慣れていなくて昨日と同じように
今日も明日も ここにいたくなるんだ

乃木坂46 「帰り道は遠回りしたくなる」 作詞 秋元康

2番のA,Bメロ。

いつもの「道」から離れて、ただちょっと環境が変わっただけ。いつも見慣れた景色、環境から離れてみると、ただ少しだけ周りが違うだけなのに、やけに不安になったりするもの。情景描写中心ですが、結局のところ新たな「道」というものへの不安が描かれております。だから、明日も「ここ」にいたくなる。変わるということは怖いから。でも「ここ」も変わってしまうから自分も変わらないといけない…難しいものですね。

 

知らない道 知らない道
あと何回 歩けるだろう
夢の方へ 愛の方へ
風は道を選んだりはしないよ
このまま(このまま…)
ONEWAYの標識
でも 行くんだ 行くんだ 行くんだ 行くんだ
戻れなくても…

乃木坂46 「帰り道は遠回りしたくなる」 作詞 秋元康

2番のサビです。Bメロからは打って変わって、前向きに進もうとする様子が描かれています。

できれば行きたくない「知らない道」。しかしここでは、「あと何回通れるだろう」と、非常にポジティブに捉えているように感じます。「あと○○分しかない」なのか「あと○○分もある」なのか、といった具合で。

もうこのまま、一方通行でも進むんだ。

ここで一気に前向きに…なったといえば嘘になる。どうも「行くんだ」と4回繰り返す歌詞が引っかかってしまうからです。一番のサビでは「行きたい」という願望が繰り返されるので特に違和感はないんですが、ここでは「行くんだ」という意思表示を4度も繰り返しています。

繰り返し歌うことで、自分に言い聞かせるというか、そういった意味合いがあるんじゃないかな…と私は考えております。

まだ決断なんてできていないし、出来ることなら変わりたくはない。でも、行くんだ 行くんだ 行くんだ 行くんだ。

たとえもう戻ってこれないとしても…

 

君と離れるのは悲しいけど
大事な別れだ
もっともっと広い世界
知らなきゃいけない
いつか(いつか)きっと(きっと)
違う道を選んだ意味
輝く未来のためと
互いにわかるだろう

乃木坂46 「帰り道は遠回りしたくなる」 作詞 秋元康

Cメロです。今までよくよく考えてみれば、「新しい道」「ここではないどこか」などといった抽象的な歌詞でしか表現されていなかったわけですが、ここでようやく少しばかり具体的な歌詞が出てきます。

「もっともっと広い世界」へと進むためには、「君」と離れなければならない。

ようするに「新しい世界」というのは、卒業だとかそういった類のことだったわけです。もっとも、卒業シングルなのでそりゃそうなんですが。笑

「いつか、きっと」離れることが輝く未来に繋がっていたと互いにわかる「だろう」から進もう。あからさまに不安な様子が伺えますが、それでも、このまま行くんだ。思いの強さが伝わってきます。まっすぐで純粋な素晴らしい歌詞。

 

風のように 風のように
思うままに生きてみよう
過去がどんな眩しくても
未来はもっと眩しいかもしれない

乃木坂46 「帰り道は遠回りしたくなる」 作詞 秋元康

先ほどと同様。眩しいかもしれないから。思うままに生きてみよう。なんとか前を向いて進もう。そんな意思を感じられます。

思えば、2番のサビからずっと前向きな自身の意思表示が続いています。もうとにかく進むしかないと自分に言い聞かせ続ける。卒業は避けることなんてできないから。そうすると、サビの歌詞もすんなり入ってくるような。

 

帰り道は 帰り道は
遠回りをしたくなるよ
どこを行けば どこに着くか?
過去の道なら迷うことがないから
弱虫(弱虫…)
新しい世界へ
今 行きたい 行きたい 行きたい 行きたい
強くなりたい

 

好きだったこの場所

大切な思い出

好きだったこの場所

乃木坂46 「帰り道は遠回りしたくなる」 作詞 秋元康

ラスサビです。

この流れから読み取れば「帰り道は遠回りしたくなる」というのは、やはりまだ「この場所」から離れきれない…という意思の表れかな…と考えられます。行かなきゃいけない。でも弱虫だから、なかなか踏み切ることができない。

だけどそれでも。行きたい。強くなりたい。前に進みたい。たとえ戻れなくても。

 

まとめ

やっぱりいい歌詞だな…としみじみと思います。あえて言ってしまえば、この歌詞は「こう思えば卒業を乗り越えられる」だとか「卒業はこういうものだ」だとか、そう言った答えは一切与えてくれません。しかしながら、卒業ソングはそれでいいんです。ただ、卒業する人の身に寄り添って、勇気づけてさえくれればそれでいい。その点、この楽曲はこの上なく素晴らしい卒業ソングだなぁと、心の底からそう思います。

帰り道は遠回りしたくなる

帰り道は遠回りしたくなる

  • 乃木坂46
  • J-Pop
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes
  

大変長い文章になってしまいましたが、ここらで終わりたいと思います。

ありがとうございました!

他の歌詞解釈等はこちらから

 

f:id:zz-1:20190814211901p:plain
f:id:zz-1:20190814212429p:plain
おすすめ記事一覧

【天気の子】主題歌の考察まとめ

【King Gnu/Teenager Forever】最高にイタくてカッコいい最新曲

【乃木坂46/シンクロニシティ】レコ大受賞の名曲を考察

ブロガー向けの記事はこちら


新着記事